はてなブログ・・・略・・・小説、13日目。

 少女は何を考えているのだろうか?

 もともと、親友にとって彼女の部屋が乱雑で達した。あることに疑問は感じない。いや、それ以前にこのさみしがり屋が夏休みの途中からメールを含めて全く連絡を取らなかったこと自体がおかしい。友人連中に連絡を取って下調べはしてある。もっとも、自分になかったじてんであの人たちとつながっているとは思えなかった。

 いや、正しくは思いたかった、であろうか。

 真実、自分の考えが正鵠を射ていたことにほっとしている。

 少女は背を向けているので逆光になっている。グラデーション的にはほどんと黒に近いのだが、むしろそれゆえに、伸びきった手足や細い腰などは、十分にスターの資格が十分だと言える。それは、親友がほしくてたまらないものである。彼女自身、十分に美人なのだが少女に対してひそやかなるコンプレクスを抱いている。

 今も、本当のことをいえば、自分はここにいていいのだろうか?という自問自答を薄い肌の下でひそかに続けている。自分だけは少女にとって特別だという自負は、すくなくともそういう言葉を表明するじてんで、自信のなさを露呈している。

 永遠とも思われる時間が過ぎて少女の美しい声が響いた。

 「今年の夏は有益に過ごしたの?」

「・・・・・・・・・」

 まるで夏休み明けの全校集会で、校長が何も考えずにぶちまけるような言いように、親友は返す言葉もなかった。声の美しさと反比例する内容のなさはどうだろう?

 本当に自分はここにいていいのか?来てよかったのだろうか?疑問がぐるぐると頭の中で回りだした。しかし、それはこの部屋の温度や湿度も無関係ではないだろう。

 夏も盛りは過ぎたとはいえ、昼近くなった部屋のなかは灼熱の地獄と化しつつある。その証拠に苦い汗が脇の下を通って腰のあたりに返事の代わりに「暑いから冷房つけていいよね」と言った。

 たまたま動かした眼球の先にはエアコンのコントローラーがあった。プラスティックの安物の輝きが目を引いたが、暑さのせいで脂ぎった手には不快な感触しかもたらさずに眉をひそめた。

 許可を得るまえに冷房をつけると少女は窓を閉めたから、あながち話を聞いていなかったわけではない。自分の存在が忘れ去られていたわけでないことは、すくなくとも確認できた。

そればかりか雨戸までもがけたたましい音とともに閉められた。

「真っ暗じゃない、あなたのキレイな顔がみえないけど」

 少女の、校長演説よりもさらに月並みな答え方をしながら、雨戸が閉められた意味に対する考察を始める。

 会話はまた途切れてしまっている。彼女はまた窓から見える光景に見入っている。借景とはいうがよほど美しい光景であっても住めば見飽きてしまいそうだ。たとえば、観光地など旅したときにそんなことを思う。しかし、目的地まで到着する中途で、ここなら長く住んでもいいと思わせるような絶景に出会ったりすることがある。もちろん、旅というものは計画する時間が花と、誰かが言っていたような気がする故に、わくわくする気分が創作した錯覚という可能性も否定しきれない。

 親友にとって少女と時間を共有することは、一種の旅に違いないように思われた。目的地ははるか先故に、こんなに戸惑いながらも一方でわくわくするのだと、彼女は思いたかった。