2013-08-01から1ヶ月間の記事一覧

はてなブログ・・・略・・・小説、16日目。

少女は何食わぬ顔で夕食のエビを口に咥えている。 彼女の親友としては複雑な気分だ。今更ながらなんと気分の変遷の激しい人間だろう。そのような気性は生まれつきなのか、それとも遺伝なのだろうかと、傍らで同じようにフォークで突き刺したエビを口に運ぶ少…

はてなブログ・・・略・・・小説、15日目。

二人の清掃活動は、昼過ぎまで続いた。 少女の精神状態も手足を動かすことによって他所に移動していったようである。しかし、いざ、一休みでもすると元凶がそばにいるとあって、要らざる感情がよみがえってくるのだった。だから、親友が、叔母が運んできた冷…

はてなブログ・・・略・・・小説、14日目。

少女は背中が熱くて思わず火傷するかと思った。しかし、彼女は残暑の太陽を背中にしているわけではない。彼女が背を向けているのは、あくまでも、彼女の内面を暗示するように乱雑な部屋と、そして、親友なのである。 それ以前に雨戸を締め切ったのでわずかな…

はてなブログ・・・略・・・小説、13日目。

少女は何を考えているのだろうか? もともと、親友にとって彼女の部屋が乱雑で達した。あることに疑問は感じない。いや、それ以前にこのさみしがり屋が夏休みの途中からメールを含めて全く連絡を取らなかったこと自体がおかしい。友人連中に連絡を取って下調…

はてなブログ・・・略・・・小説、12日目。

慌てて自室に飛んで帰ると携帯を探した。何故だか、親友を家に入れたくなかった。ここはあまりにも少女の内臓が散乱しすぎている。胃や腸や肝臓があちらこちらに散らばっているのだ。それを親友にさえ見せたくなかった、少なくとも今は・・・・・。 まずは親友に…

はてなブログ・・・略・・・小説、11日目。

もともと叔母のフィアンセは外科専門医であるし、精神科医である彼女もその心得はあった。そのためにこの二人が付いているゆえに、母親は大丈夫であると少女は自分に言い聞かせはした。しかしながら、その自信は完全に揺らいでしまう。 ある夜中など、突然、…

はてなブログ・・・略・・・小説、10日目。

少女が母親を刺したことはまぎれもない事実だった。けっして、彼女の妄想ではなかった。確かにこの手に残っている感触は嘘ではなかった。 だが、精神科医である叔母が言うには軽傷だったという、別荘にある医療キットで何とかなるという。海中からプライベー…

はてなブログ・・・略・・・小説、八日目

確かに少女の両手は真っ赤になったはずだった。水とは違う性質を持つ液体によって手首まで濡れたのだ。少しばかり滑り気のある液体が肌を通った際に肉の中まで浸透するようにすら思った。 なんとなれば、それは母親の身体から零れたものだからだ。 いや、正…

略・・・・小説六日目

少女の叔母と母親は年齢において20年の開きがある。ちなみに、二人は腹違いの姉妹である。それにも拘わらず瓜二つなのは、両者が父親似だからであろう。母親の若いころの写真をみるとそっくりである。 だが、決して男顔ではないのは、少女の祖父が歌舞伎の女…

略・・・・小説、5日目

四月の冷たい雨が視界を遮る。朝、起きたときは晴天の青が宇宙まで突き抜けて尖塔を形作っていたのである。誰もが傘を持っていかないと思っていたら、クラスのほどんどが持参していて驚いた。 そして、今は放課後、帰宅の電車のなかで不安げに黒い雲の沈黙を…

略……四日目

「いつまでみんなに黙っているのよ?」 「あえて、他人に知らせることでもないでしょ」 少女は親友の問いにあどけてみた。 「ねえ、カラオケ行かない?」 「これから?もう六時よ。あんたはいいかもしれないけど・・・あ、ごめん」 少女の眼光が変わったのはけ…

略・・・・小説、三日目。

あんた、贅沢すぎるんだよ、よく少女は友人からそういわれることがある。傍らの親友は、彼女の内情をよく知っているために、にこやかに天使めいた笑いを浮かべながら首肯しているのを内心ヒヤヒヤで見つめている。 その視線が背中に突き刺さるのを如実に感じ…

ブログ新規立ち上げに際してあいさつ代わりの小説を書いた次の日の小説。

少女は刃物を睨み付けていた。壊れかけのランプがそれを赤く色づかせている。あたかも誰かを殺したのちに、法的、マスコミ的に言うところの、凶器に見えてならない。いや、これから実行するのだから、あくまでも凶器予定品にすぎない。いまのところ、夏休み…

ブログ新規立ち上げに際してあいさつ代わりの小説。

少女は海を見ていた。 とりわけ水平線の美しさに惹かれたわけでもない。しかし、足首まで水につかっていることにさえ気づかずに立ち尽くしていた。 寄せては返す波。それが悠久の過去から幾度なく繰り返され、おそらく、彼女が死んでもえんえんと無意味に続…