2013-01-01から1年間の記事一覧

はてなブログ・・・略・・・小説、33日目。

少女は圧倒的な不安に押しつぶされそうになっていた。もういちど、みんなで元に戻した、いや、親友の趣味も加えて以前よりも美しく生まれ変わったキッチンを、今度は回復不可能なくらいに破壊したい衝動に駆られた。 そんな彼女の耳に、ふたりの血縁者の会話…

はてなブログ・・・略・・・小説、32日目。

少女の親友にとって、今回のお泊りが何回目なのか、まさか数えているわけではないのでわからない。一年に夏は一回しかないので単純計算すれば、幼稚舎から高等部2年時まで13回目ということなるが、何かあると名目をつけてお互いの家を行き来していたので…

はてなブログ・・・略・・・小説、31日目。

少女の親友にとってすべては明らかになった。彼女自身がすべてを詳らかに説明し、かつ、彼女の近親者ふたりがそれを追認したからである。誰あろう、被害者である本人が認めているのだから納得以外の選択肢はないといってよかった。 少女の願いは叶ったかに思…

はてなブログ・・・略・・・小説、29日目。

母親と叔母と、そして、親友、この三人はいま、彼女らがやっているように料理の皿を単に回しているだけなのだ。決して少女だけを仲間外れにしているわけではない。たまたま、彼女がその皿の上に乗せられているものを嫌っているからだ。彼女と過ごした時間が…

はてなブログ・・・略・・・小説、30日目

「私が刺したの!私が!!」 「・・・・・・・?!」 いったい、少女は何を言っているのだろうか?親友は、まるで共演者のセリフを予告なく変更させられた女優のように立ち尽くした。もはや、質問する言葉はおろか気力すら浮かんでこない。服が料理によって汚されて…

はてなブログ・・・略・・・小説、28日目。

だが、しかし、親友とて少女を本気で殴ろうと思ったわけではない。 そういう気持ちと裏腹に勝手に身体が動いていた。ほとんど不可抗力で彼女の整った顔に肘を炸裂させていた。俗にいうところのエルボーである。それはプロレスの技らしいことはふたりとも知っ…

はてなブログ・・・略・・・小説、27日目。

「私が自分を偽っている?」 思わず言葉が漏れたが、少女の親友はべつに彼女の叔母に対して言葉をぶつけようとしたわけではない。自分に対して発し、その意味を反芻してみただけにすぎない。何回かその言葉を噛んでいるうちに、疑問が生じた。それを返してみ…

はてなブログ・・・略・・・小説、26日目。

少女の叔母が言ったことを彼女の親友は理解できなかった。その言いようは論理が逆さまですらない。何となれば、自分を拒否したのは少女の方ではなかったのか。彼女がハサミで切り落としたはずの紐を親友は惨めにも自らくっ付けに戻ったのだ。 叔母がワイング…

はてなブログ・・・略・・・小説、25日目。

話が複雑になるからと気を使って、少女の自宅から50mほど距離のあるところに娘を吐き出して帰って行った。もちろん、携帯という文明の利器によってあらかじめ、真夜中という時間帯にも関わらず他人の家を訪問する非常識を乗り越えることができた。 たまた…

はてなブログ・・・略・・・小説、24日目。

娘に急かされてUターンをしたものの、何かわけのわからない濁流に巻き込まれてしまった感を否定できないでいる。少女は、彼女にとってとてもいい友人だと思う。幼いころから知っているが、両家は家族ぐるみの付き合いをしてきたといってよい。それにもかか…

はてなブログ・・・略・・・小説、23日目。

刃物を使って少女が実母を刺したという。 ところが、被害者である、その張本人がぴんぴんな様子で警察署に罷り出たので事件になりようがなかった。もちろん、少女は厳重注意を受けたが、学校で行われる叱責と違ってべつに罰を受けるわけでもないので、あくま…

はてなブログ・・・略・・・小説、22日目。

どうしてあんなことを言ってしまったのだろう?誰もそれを歓迎しないはずなのに。 少女は、心のモニターにそう入力してみた。できるだけ傍らにいる親友の秋波を感じないようにする。吐息がうなじにかかってしまう距離である。たとえ触れていなくても背中に彼…

はてなブログ・・・略・・・小説、21日目。

パトカーが町に入ってネオンサインが月ほどの大きさになって目に入ってくると、必要以上に効いている冷房のせいもあるのか、親友自分の心の温度が下がっていくのを感じた。事の重大性に気付き始めたのである。少女の母親は有名芸能人である。年齢が年齢だけ…

はてなブログ・・・略・・・小説、20日目。

少女は一体何を言っているのだろう。 親友はただただ無理やりに押し込まれたパトカーの中で煩悶していた。おそらくは、サイレンは鳴らしていなかったはずだが、凶悪な点滅は目をつむっても残像として彼女の脳に食い込んでくる。彼女の独善的な主観によれば、…

はてなブログ・・・略・・・小説、19日目。

「ほら、誰もいないって・・はやく出てきなよ、はやくしないとかに血を吸い尽くされちゃうわよ」 少女が促すと親友は一人だけ道路に出て周囲を隈なく、近くの街灯は点滅を繰り返しているのでかなり暗かったので、彼女の努力内において精密に調べた。そもそも、…

はてなブログ・・・略・・・小説、18日目。

よく冷えたコーラが喉元を流れていく。そんな状況を飲む前から想像して勝手に気持ちよくなっていたのだが、いざ、口を缶につけてみると、自動販売機から移動する際に外気の熱気に当てられたのか多少なりとも生ぬるく感じられた。そのことを主張すると、「何…

はてなブログ・・・略・・・小説、17日目。

案の定というか、ほぼ予定通りに少女は別荘の鍵を忘れていた。すでに二人とも自転車に跨っていた。 「そういうことは、もっと前に言ってほしいな」 やる気に水をかけられたような顔で少女は憮然とし顔を見せた。いざ、到着してからポケットに入っていなかっ…

はてなブログ・・・略・・・小説、16日目。

少女は何食わぬ顔で夕食のエビを口に咥えている。 彼女の親友としては複雑な気分だ。今更ながらなんと気分の変遷の激しい人間だろう。そのような気性は生まれつきなのか、それとも遺伝なのだろうかと、傍らで同じようにフォークで突き刺したエビを口に運ぶ少…

はてなブログ・・・略・・・小説、15日目。

二人の清掃活動は、昼過ぎまで続いた。 少女の精神状態も手足を動かすことによって他所に移動していったようである。しかし、いざ、一休みでもすると元凶がそばにいるとあって、要らざる感情がよみがえってくるのだった。だから、親友が、叔母が運んできた冷…

はてなブログ・・・略・・・小説、14日目。

少女は背中が熱くて思わず火傷するかと思った。しかし、彼女は残暑の太陽を背中にしているわけではない。彼女が背を向けているのは、あくまでも、彼女の内面を暗示するように乱雑な部屋と、そして、親友なのである。 それ以前に雨戸を締め切ったのでわずかな…

はてなブログ・・・略・・・小説、13日目。

少女は何を考えているのだろうか? もともと、親友にとって彼女の部屋が乱雑で達した。あることに疑問は感じない。いや、それ以前にこのさみしがり屋が夏休みの途中からメールを含めて全く連絡を取らなかったこと自体がおかしい。友人連中に連絡を取って下調…

はてなブログ・・・略・・・小説、12日目。

慌てて自室に飛んで帰ると携帯を探した。何故だか、親友を家に入れたくなかった。ここはあまりにも少女の内臓が散乱しすぎている。胃や腸や肝臓があちらこちらに散らばっているのだ。それを親友にさえ見せたくなかった、少なくとも今は・・・・・。 まずは親友に…

はてなブログ・・・略・・・小説、11日目。

もともと叔母のフィアンセは外科専門医であるし、精神科医である彼女もその心得はあった。そのためにこの二人が付いているゆえに、母親は大丈夫であると少女は自分に言い聞かせはした。しかしながら、その自信は完全に揺らいでしまう。 ある夜中など、突然、…

はてなブログ・・・略・・・小説、10日目。

少女が母親を刺したことはまぎれもない事実だった。けっして、彼女の妄想ではなかった。確かにこの手に残っている感触は嘘ではなかった。 だが、精神科医である叔母が言うには軽傷だったという、別荘にある医療キットで何とかなるという。海中からプライベー…

はてなブログ・・・略・・・小説、八日目

確かに少女の両手は真っ赤になったはずだった。水とは違う性質を持つ液体によって手首まで濡れたのだ。少しばかり滑り気のある液体が肌を通った際に肉の中まで浸透するようにすら思った。 なんとなれば、それは母親の身体から零れたものだからだ。 いや、正…

略・・・・小説六日目

少女の叔母と母親は年齢において20年の開きがある。ちなみに、二人は腹違いの姉妹である。それにも拘わらず瓜二つなのは、両者が父親似だからであろう。母親の若いころの写真をみるとそっくりである。 だが、決して男顔ではないのは、少女の祖父が歌舞伎の女…

略・・・・小説、5日目

四月の冷たい雨が視界を遮る。朝、起きたときは晴天の青が宇宙まで突き抜けて尖塔を形作っていたのである。誰もが傘を持っていかないと思っていたら、クラスのほどんどが持参していて驚いた。 そして、今は放課後、帰宅の電車のなかで不安げに黒い雲の沈黙を…

略……四日目

「いつまでみんなに黙っているのよ?」 「あえて、他人に知らせることでもないでしょ」 少女は親友の問いにあどけてみた。 「ねえ、カラオケ行かない?」 「これから?もう六時よ。あんたはいいかもしれないけど・・・あ、ごめん」 少女の眼光が変わったのはけ…

略・・・・小説、三日目。

あんた、贅沢すぎるんだよ、よく少女は友人からそういわれることがある。傍らの親友は、彼女の内情をよく知っているために、にこやかに天使めいた笑いを浮かべながら首肯しているのを内心ヒヤヒヤで見つめている。 その視線が背中に突き刺さるのを如実に感じ…

ブログ新規立ち上げに際してあいさつ代わりの小説を書いた次の日の小説。

少女は刃物を睨み付けていた。壊れかけのランプがそれを赤く色づかせている。あたかも誰かを殺したのちに、法的、マスコミ的に言うところの、凶器に見えてならない。いや、これから実行するのだから、あくまでも凶器予定品にすぎない。いまのところ、夏休み…